マタニティブルーを克服して幸せな出産を迎えるために

マタニティブルー

「マタニティブルー」と言う言葉を聞いたことがあるという方も多いですよね。

正式には「マタニティブルーズ」といい、本来産後のママの精神状態を指します。
出産後に起こるママの気分の落ち込みのことです。
個人差もありますが、分娩直後から産後7~10日以内にみられ、産後2日~4日が発症のピークとされています。

妊娠中の精神状態も含めると、マタニティブルーは早い人では妊娠初期から始まる方もいます。
最近はマタニティブルーとは妊娠中のイライラや不安なども含めて、広い意味で妊産婦さんの精神的な症状を指すようになっています。

妊娠中だけ、産後だけ、1人目だけの場合などいつ症状が出るかは個人差があります。
突然悲しい気持ちになる、寂しい気持ちになる、漠然とした不安、なぜか涙が出る、夫や周囲の人にイライラするなどの症状があり、夕方から夜にかけて毎日泣く、泣いていたかと思うとすぐ笑顔になるなどの情緒不安定な状態になるのがマタニティブルーの特徴です。

マタニティブルーは特別ではなく、妊娠中や産後であれば誰でもかかる症状の1つです。
妊娠中のママ、産後ママの30%が経験すると言われます。
ママの心が弱いわけではありませんので自分を責めないようにしましょう。
今マタニティブルーで悩んでいる方も妊娠を考えていらっしゃる方も、また周りに妊娠中の女性がいる方も読んでみてください。
マタニティブルーは、まずは「知る、理解する」ことが大事です。

ここではマタニティブルーの原因や対策を見ていきます。

症状

症状

マタニティブルーにはいくつか特徴的な症状があります。
マタニティブルーがどんなものか知らなければ、ママだけではなく赤ちゃんや周囲の人にも影響を与えてしまうことがあります。
どんな症状からマタニティブルーであるか判断すればよいか、簡単なセルフチェックを試し、テストしてみましょう。

  • 理由なく涙が出る
  • 強い不安感に襲われることがある
  • 眠れない・眠りが浅い
  • 家事や育児に集中できない
  • 疲れが取れないと感じる
  • 何もやる気が起きない
  • 頭痛や食欲不振

あてはまるものが多ければ、マタニティブルーであると考えられます。
どれか一つでも、それが日々の大きな負担やストレスになっているのです。
誰かに相談したり助けを求めることを怖がらないでください。
マタニティブルーはすべての女性に同じ症状が現れるというわけではなく、それぞれ違った症状が現れます。

いつからというのも個人差があります。
厳密には産後すぐの情緒不安定の状態を指しますが、妊娠初期のつわりの時期、そして入院中から妊娠後期の臨月の時期にもいろんな精神状態が出てきます。
近年ではこれらを総称してマタニティブルーと呼ぶこともあるので様々な症状が現れます。

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うつとマタニティブルーは違います

うつとマタニティブルーは違います

「マタニティブルー」と「妊娠うつ、産後うつ」は別物です。
それぞれ妊娠、出産によるホルモンバランスの変化がきっかけでなるものですが、発症時期や症状の程度、かかっている期間などが異なります。
いつからいつまで、どんな症状なのか比べてみましょう。

【妊娠うつ】

妊娠中に妊娠中に発症するうつ病で、日本国内のある調査では妊婦の約15%がかかるという報告があります。
うつの多くは妊娠初期に発症し、ほとんどは出産の時期までに解消します。
比較的軽度で済む場合がほとんどですが、症状が悪化し、診察が必要になる場合もあります。

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【マタニティブルー】

産後2~3日目ごろから表れる一時的なうつ状態で、涙もろくなったり孤独や不安を感じたりするなど、感情が不安定になります。
産褥婦の半数が体験し、産後1ヵ月程度で解消していきます。
うつとは違い、病気ではないため、投薬などの治療は必要ありません。

【産後うつ】

分娩後2週間~3か月以内に発症することが多いうつ病で、短ければ1ヵ月程度、長いと1~2年ほど症状が続きます。
産後うつはれっきとした病気で、軽度から重度まで症状は人それぞれです。
出産した10~15%のママがかかっているというデータもあり、意外と身近で起こりうることです。
産後うつは重症化すると離婚や子供への虐待、無理心中まで発展する可能性もあります。

うつの場合はマタニティブルーの症状に加えて、

  • 子供のお世話を苦痛に感じる
  • 「自分ばかりが大変」と旦那に怒りを感じたり、愛情がなくなったりする
  • 頭痛、吐き気、下痢、便秘、胃痛、腰痛などの症状がある
  • 性欲や睡眠欲がなくなる

妊娠うつは比較的軽い場合が多いため、日常生活を変えることでうつ症状を改善できるパターンが大半です。
マタニティブルーも一過性のものなので、生活や考え方を改めることで解消されます。
一方、産後うつは病気なので、本格的な治療が必要になります。
うつ症状は早めに対処することで悪化を防げます。

出産後、「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」という質問用紙に答える機会があります。
原版は英語ですが、現在は58ヵ国語の翻訳版が作成され、国際的に広く普及しています。
回答を点数で表すことによって、母親の抱える不安やリスクを明らかにし、ケアのきっかけ作りとなっています。
軽く考えず、診断がでたら早めに夫や両親、医師、助産婦さんや看護師さん、周りの人に相談し、家族ぐるみで取り組んでストレスをできるだけなくし、克服しましょう。

マタニティブルーの原因

マタニティブルーの原因

産後にいきなり悲しい気持ちになったり、わけもなく涙が出たり、イライラや不安で眠れなくなったり情緒不安定になることをマタニティブルーと言います。
出産によるホルモンバランスの変化が原因で、産後うつとは違い病気ではないので10日~2週間程度で自然に治る場合がほとんどです。

マタニティブルーになる原因は何かを見ていきます。

  • ホルモンバランスの変化

妊娠中は出産に備えてホルモンが胎盤で作られるため、女性ホルモンが増加しますが、出産して胎盤が排出されると今までホルモンの多くを占めていたエストロゲンとプロゲステロンが大きく低下します。
また、赤ちゃんが母乳を吸うことによってプロラクチンという「母乳分泌ホルモン」が分泌されます。
産後のママはこうした急激なホルモンの変化に身体が追い付かず、情緒が不安定になり、マタニティブルーになりやすいと言われています。

  • 出産疲れ

産道が開いて骨盤が広がったり、子宮が強く収縮するなど、出産には体力を使います。過度の疲労は精神的にも大きなダメージを与え、不眠の原因にもなります。
身体がきついとつらい気持ちが増してきて情緒が安定しません。

  • 睡眠不足

妊娠中は体調が変わりやすく、子宮が大きくなってくるとお腹が圧迫され、十分な睡眠がとれない時もあります。
また出産後は授乳など赤ちゃんのお世話で慢性的な睡眠不足になります。
睡眠不足が続くと、身体が疲れやすくなってマタニティブルーの原因になる場合があります。

  • 育児のプレッシャー、慣れない育児の開始

出産によって母親になったという実感がわき、育児や母親になることの責任とプレッシャーが生じることがマタニティブルーの原因になると言われます。

  • 育児疲れ

出産後のママは、昼夜を問わない授乳などの赤ちゃんのお世話だけでなく、家事も行わなければならないなど、体力的に厳しい状況になりがちです。
また、自分の子育てが正しいのかという不安感や、里帰り出産の場合でも周りのアドバイスがプレッシャーになってしまうこともあります。
こうした不安感は、経産婦さんにも同じように起こります。
二人目、三人目の出産でも同じですし、子育て疲れは赤ちゃんが増えると倍増するとも言われています。

  • 孤独感を感じる

産前産後の体の変化を他の人と分かち合うことはなかなか難しいです。
夫や周りの人の何気ない一言にイライラすることもあるでしょう。
今まで仕事をしていた人が産休で1日を家で過ごすと、社会とのつながりが絶たれて孤独感を感じるケースも少なくないようです。
仕事を休んでいる間の職場での居場所や、お金の不安、夫に対しての孤独感がマタニティブルーの原因になることもあります。

なりやすい人の特徴

なりやすい人の特徴

マタニティブルーになりやすい人の特徴はいくつかあります。

  • なんでも一人で頑張る努力家

なんでも一人で頑張る努力家の人は、マタニティブルーになりやすい傾向にあるようです。
つらいことがあっても、疲れていても、誰にも助けを求めることなくやり遂げようとする姿勢は頑張り屋さんならではですが、限界を超えてまで頑張り続ける必要はありませんよ。
努力家のママは、誰かに相談することや弱音を吐くことが苦手な場合が多いので、すべてを背負ってしまいます。
子育ては夫や周りの人の協力なしにはうまくいきません。
夫や両親、周りの人に上手に頼って、たまには気の抜ける時間を作るのも、これから長く続いていく育児を乗り切るには必要なことです。

  • 真面目過ぎる性格の人

育児にまじめに取り組むことは、大切ですが簡単なことではありません。
赤ちゃんの授乳や寝かしつけ、体調管理に離乳食の与え方など、育児書どおりに完璧にやろうとすればするほど、思いどおりにいかないと感じることばかりです。
真面目すぎるママは、同時に完璧主義であるともいえます。
スケジュールどおりに進まなかったことを自分のせいだと責め、自分を追い詰めてしまうことも。
これが連続、継続することで「うまくいかない」ことに疲れてマタニティブルーになることがあります。
しかし、予想しなかったことが起きるのが育児というものです。
真面目すぎる性格はお休みして、日々起きるハプニングを楽しむくらいの余裕が必要ですね。

  • 感情を表に出すのが苦手な人

感情を表に出すことが苦手な人は、自分が我慢すること、あきらめることが習慣となっている場合が多くあります。
自分に嘘をついて、自分自身を傷つけていることになるかもしれません。
マタニティブルーは感情表現が苦手な人もなりやすいといわれています。
嬉しい、悲しい、楽しい、育児の中にはたくさんの感情が生まれます。
心の声に素直になり、気持ちのままに表現することもときには必要ですね。

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対処法

対処法

マタニティブルーはうつとは違い、病気ではなくホルモンの変化による心の不調です。
無理に治そうとする必要はありませんし、治そうとすることがプレッシャーになるなら、「今はつらい時期だ」と考えて静かに過ぎ去るのを待つだけでも有効です。
マタニティブルーを少しでも解消して気持ちを楽にするために、チェックリストでセルフチェックしたり、おすすめの方法は以下の通りです。

  • 話し相手を見つけて相談し、不安を吐き出す

出産、育児などへの不安はすべてのママが感じることです。
つい一人で抱え込みがちですが、家族や友人、先輩ママなど身近な人や、助産師、保育士さんなど、不安な気持ちを相談し、ストレスを聞いてもらうと安心につながります。出産を機に仕事を辞めた人は、ずっと家にいることでふさぎ込みがちになることもあります。仕事復帰する予定の人も、自分の居場所があるだろうかという不安に襲われたりします。直接その不安に触れるだけではなく、たわいもないおしゃべりをしてストレスを発散することも有効です。

  • マタニティブルーで悩んでいるのは自分一人ではないことを理解する

「マタニティブルー」で検索すると、たくさんのブログやイラストが出てきます。マタニティブルーで悩むのは自分一人ではない、同じ境遇の人もたくさんいるということが分かれば安心につながるかもしれませんね。

  • 気分転換に軽い運動をする

妊娠中でも、身体に負担のかからない軽い運動をすることは、マタニティブルーの解消にとても効果的です。
最近は、マタニティヨガやマタニティスイミングなど、妊婦さん専門のスポーツ教室も増えてきましたが、ママ仲間もできて気晴らしにもつながる効果が期待できます。
それ以外にも軽いウォーキングや朝一番の深呼吸だけでも、気分転換につながります。

  • 食事の栄養バランスを整え、早寝早起きを心掛ける

妊娠中のつわりで偏食気味になっていたり、生活環境の変化で遅寝遅起きなど乱れた状態になっていたりすると、精神的にも不安定になります。
特に産後は慣れない赤ちゃんのお世話や授乳でなかなか思うような睡眠が取れないかもしれませんが、家事や育児で頑張ってしまう人は、知らないうちに疲れやストレスをためてしまう状態になってしまいます。
ときにはゆっくりくつろぐ時間を作り、ストレスをため込まないように家事も上手に手抜きして心と体を休ませましょう。

  • 夫と話し合いの時間をもつ

妊娠中や産後に、夫に父親になる自覚が足りないと感じてイライラしたり夫へのストレスを抱え不安になる人もいるでしょう。
最悪のケースでは離婚につながってしまうこともありますので、夫と少しでも話し合う時間を持つことが大切ですね。
マタニティブルー離婚という言葉が出てきたように、こじれると深刻な状況になってしまいます。
そうなる前に、妊婦検診に夫と一緒に行ったり、育児書を見てもらったり、胎動を感じてもらうなど、出産についてパパとなる夫にも知ってもらいましょう。

  • 何もしない日を作る

妊娠中は体重増加に気を付けたり、熱心なママだと胎児教育などに頑張っている人もいるかもしれません。
しかし、時には我慢せずに、気分を開放することもマタニティブルーの解消に効果的です。
妊娠中には妊娠高血圧症候群など治療を受けている場合は要注意ですが、時には夫とちょっと素敵なレストランに行く、好きなものを食べることは気分転換におすすめです。
産後も、赤ちゃんを少しの間見てもらい美容室に行く、カフェでほっと一息するなど一人の時間を持ったり、映画を見て思い切泣くなど、見えないストレスの感情を発散させることも効果的です。

  •  医師に相談する

マタニティブルーはうつとは違いホルモンの変化による不安定な心の状態であり、病気ではありません。しかし、深刻な状況になると、うつにつながってしまうと言われています。
うつ状態になると、ストレスで心身に影響を及ぼすので、心配な場合は医師に相談しましょう。
専門カウンセラーによる心理療法や、妊娠、授乳中でも服用できる薬を処方するなどして、きちんと対処してくれます。
特に妊娠中や授乳中は、眠れないからと言って自己判断で市販の睡眠薬を飲まないようにし、投薬してもらう場合は産婦人科のプロである医師にしっかり相談し診断を受けましょう。

夫のサポート

夫のサポート

マタニティブルーを乗り越えるためには、夫のサポートが有効です。
妊娠初期には、男性には分かりにくいかもしれませんが、夫は特に気持ちが不安定になることを理解する、つわりの辛さに配慮するなどの対応が必要です。
妊娠中期には、食生活の管理に付き合う、一緒に軽い運動を行う、陥りがちなむくみや腰痛対策に夫にマッサージをしてもらうなどのケアがあれば気持ちも楽になります。
妊娠前は晩酌をしていた夫婦でも、妊娠したらママは飲めません。
そういった場合に毎日毎日夫だけがお酒を飲み続ける、妊娠前と同じ頻度で飲み会に出向く、などの行動はどんどん妻を不安にさせてしまいますので、夫婦で十分話し合って配慮していくことが望ましいですね。

また、妊娠中は重いものの運搬などは要注意なので、パパならではのサポートを発揮してもらいたいものです。大きな買い物は一緒に行く、高いところの掃除や、赤ちゃんを迎える準備の際の家具の移動など、できるところは夫に甘えてしっかり頼れる環境を作っていきましょう。
産後はママは自分の出産後の体力を回復するだけでも大変です。
子供と一緒にお風呂に入る、時には家事をするなど、育児に関与することが大きなサポートになります。

従来マタニティブルーは女性特有のものと考えられていましたが、近年は夫もマタニティブルーになる可能性が指摘されています。
マタニティブルーの原因であるホルモンバランスの変化こそありませんが、妊娠中や産後の妻に気を遣うことがプレッシャーになったり、子育てへの不安、子供に妻を取られたと感じることの焦燥感や寂しさがストレスとなり、夫のマタニティブルーの原因になりうると言われています。
悪化すると夫婦でうつになってしまうことも避けられません。
マタニティブルーが原因で離婚という最悪の事態にならないように、しっかり夫婦で支えあいましょう。

マタニティブルーがひどい状態になると、産後うつにつながってしまうと言われています。
産後うつになると抜け出すまでにかなりの時間を要します。
少しでもお互いにおかしいなということがあれば医師への相談は不可欠です。

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まとめ

まとめ

幸せいっぱいのはずの妊娠期間、嬉しいはずの産後の赤ちゃんとの生活。
しかし、ママの気持ちや身体はそんなに単純ではありません。
複雑な感情が芽生えたり、なにもする気が起きなかったり、ママは「なんで自分はこんななんだろう」と責めるような状況になることも珍しくないということを覚えておいてください。
マタニティブルーは誰にでも起きる可能性のある症状です。
マタニティブルーはホルモンの変化による一時的な情緒不安定なものです。
しばらくすると治ります。
正しい知識があれば、いざ自分がこうした症状を抱えたときにも気持ちが少し楽になるはずです。
がんばりすぎず、誰かに話を聞いてもらったり、体を動かしたりして上手に解消してくださいね。

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